インプレッション イタリア老舗メーカー COLNAGO V4 ~ツール・ド・フランスを制したV4rsのDNAを引きつぐレーシングバイク

言わずと知れたイタリアの老舗メーカーCOLNAGO。
今回はかのツール・ド・フランスを制したコルナゴ「V4rs」のDNAを引き継ぐ「V4」について、スタッフのインプレッションを交えてお届けします。
今回インプレッションしたのはセカンドグレードモデルにあたる「V4 105 Di2完成車」です。
Vシリーズの系譜を継ぐV4 とは
数あるイタリアンバイクブランドの中でも、とりわけ「伝統」と「革新」が高次元で融合しているブランドといえば、コルナゴをおいて他にないでしょう。1954年創業からトッププロを支えてきたその血統は、今なお「走りの芸術品」として、多くのサイクリストを魅了し続けています。近年では、UAE Team Emirates XRG所属のタディ・ポガチャルが、コルナゴバイクを操り数々のレースで活躍していることが記憶に新しいですね。
そんな名門コルナゴのバイクラインナップは大きく分けて2つに分かれています。一つ目はラグ接合のクラフトマンシップの象徴である「Cシリーズ」。そしてもう一方が「Vシリーズ」。Vシリーズはレーシングスピリットの象徴で、2025年4月には最新モデル「V5rs」が発表されたばかり。V4は、Vシリーズの系譜を継ぐオールラウンド・レーシングマシンとして登場しました。一般的にはセカンドグレードと呼ばれるV4ですが、果たしてその実力はいかなるものか。プロユースの領域に迫るその走りをじっくりと見ていきましょう。
フレーム設計:純粋なレーシングDNA
まず印象的なのは、フレーム全体に漂う「速さ」のオーラでした。ヘッドチューブからダウンチューブ、チェーンステーに至るまで、すべてがエアロと剛性、そして重量バランスを突き詰めた造形になっています。形状はトップグレードだったV4rsの流れを汲みつつ、洗練された印象。V4rsとの相違点はカーボンの素材、ステムとハンドルバーが一体型ではない、別々のコックピットシステムが採用されていることでした。ハンドリングは非常にシャープで、入力に対して一切のもたつきがありません。下りの高速コーナーでも狙ったラインを忠実にトレースしてくれます。これは剛性の高さだけでなく、ジオメトリの完成度の高さゆえだと思います。まさに「戦うためのフレーム」だと感じました。
加速性能:ロスのない加速感
ペダルを踏み込んだ瞬間の反応は、非常にダイレクトです。アッセンブルされているホイールや車体重量の関係から踏み出しの軽さが際立っているわけでは無いですが、ロスがあるようなデメリットは感じませんでした。むしろグイッグイッっと伸びてくるような推進力があり、平坦のロングスプリントでは、その高い剛性と推進力が活きてきます。サイクリングロードのような場面では、一旦ある程度の速度域まで上がると少ないパワーで巡行を維持できるメリットを享受できるでしょう。多少の振動吸収性を犠牲にしてでも推進力を最優先したという、割り切りの良さが感じられ、それが清々しい。とはいえ、決して乗り心地が悪いわけではありません。リアバックの造形やカーボンの積層設計が、振動をある程度うまく逃してくれています。エンデュランス性を求める人にとっては「硬い」と感じる場面もあるかもしれませんが、それは明確にターゲットが「レース志向のライダー」に設定されている証拠でもあると思います。今回はホイールがエントリーグレードであることを考慮すると、ワイドリムのホイールとチューブレスレディタイヤを組み合わせることでよりマイルドな乗り心地となり、ロングライドにも対応できる印象がありました。タイヤクリアランスも30Cまで対応しており懐の深さを感じますね。
登坂性能:軽さと反応性が際立つ
登りではその「軽快さ」が真価を発揮します。特にダンシングで車体を左右に振ったときの応答性の高さは特筆ものでした。重量自体は超軽量フレームと比べれば標準的と言わざるを得ませんが、それを感じさせないほどのスムーズな軽快感があります。ヒルクライムレースのようなシーンでも、最後の数%の踏み込みに応えてくれる「芯のある加速力」が魅力です。ライダーのパワーを逃さず、推進力へと変換してくれる感覚は、まさに一流のレースバイクの証。富士ヒルにおいて、ゴール直前のトンネルを抜けた後の上りでもロスなく進んでくれそうな印象でした。
下りとコーナリング:抜群の安定感
レーシングバイクである以上、下りの安定性も重要なポイントと言えます。V4は高速域での直進安定性が非常に高く、なおかつ切り返しも俊敏。前述のとおりジオメトリの完成度が高く、まるでバイクが「先読みし誘導」してくれているかのような安心感がありました。
コーナリング中の挙動も極めてナチュラル。ライダーが怖がることなく、ラインを攻めていけるのは、やはりレース現場で磨かれた性能の賜物でしょう。カーボンの積層設計、剛性バランス、ジオメトリすべてが合致して、この下り性能を生み出していると思います。
デザイン:芸術性と存在感
性能だけでなく、美しさもコルナゴの重要なファクターです。V4も例に漏れず、まさに「走る芸術品」と言うにふさわしい存在感を放っています。鮮やかな赤色に存在感を放つロゴマーク。現代的でありながら、どこかクラシカルな香りも漂う、まさに「イタリアの粋」です。筆者はロードバイクを初めて10年以上になりますが、やはりCOLNAGOの美しさは所有欲を満たしてくれる逸品であると感じます。ぜひ近くで塗装の美しさを見ていただきたいですね。
総評:全方位に隙のない真のオールラウンドバイク
コルナゴ V4は、明確に「勝つためのバイク」であると言えます。速さ、反応性、精密なコントロール性、どれをとっても一級品。自らの限界を超える挑戦がしたい、プロレベルの機材で戦いたいそんな「本気」のサイクリストにとって、V4はこれ以上ないパートナーになると考えます。また懐の深さゆえにパーツ構成を変更すればロングライドにも対応できる。反対にホイールを決戦用と普段用に使い分けるなどすれば、普段はロングライドだけど、時々レースに出たいという希望も叶えてくれる。これ一台ですべてを網羅したいユーザーにもおすすめです。
余談:ここからも本音
ここまでなんとなく良いことばかりを並べたインプレッションとなってしまったがゆえに、若干うさん臭さを感じさせてしまったのであれば申し訳ありません。
正直な感想を言えば「ここまで良いと思っていなかった」というのが正しい表現かもしれません。インプレを始める時点では、単純にV4rsの下位グレードだろう。若干重くて、良く言えばマイルド、悪く言えばキレがないバイクだろう。などとイメージしていましたが、思い切り裏切られました。
乗った後に出てきた一言は「すごい良い!」でした。まさにコルナゴのコルナゴたる所以を見せつけられたと言えます。甘く見ていてごめんなさいコルナゴ。
では一体何が「良い」のかというと、その最たる理由はフレーム全体のバランスが非常に良いことにあると考えます。「超軽量でヒルクライムに特化」していたり「エアロを追求したモデル」のように尖った部分はありませんが、ロスの生じない剛性感があり、反応性も十分に高い。そしてバイクを振ったときなどを含めて挙動が安定していて扱いやすいのです。
変に重心が高くないからこそ、ゼロ発信時こそ多少の重さを感じますが、走らせていくと伸びていく感じが気持ち良い。前後左右のバランスも良く、初めて乗ったにも関わらず、バイクを振った時に戻ってくるタイミングが思っていた通りで、早くも遅くもない感じが、実はこのバイクの最大の良さだと思うのです。
「そうだよな。この重心バランスの良さがコルナゴの乗り味なんだよな。安定しているからこそ楽に、そして結果的に速く走れる。良く進むバイクっていう表現はこういう時に使うんだな」と、スタッフ間でもV4に対する評価について盛り上がりました。
このバランスの良さは大多数の方にとっては非常にメリットがあると思います。ズバリ!ここ数か月の中では価格を含めたうえでも「最もおすすめするバイク第一位」に躍り出たと言っても過言ではありません。
最後に一つ難点があると言えば、この良さはプロモーションにおいて表現しにくいということでしょう。
COLNAGO V4 105 Di2
フレーム:コルナゴ V4 ディスク
ハンドルバー:デダ ゼロ2 DCR RHM-EVO
ステム:コルナゴ SR10 アロイ
ホイールセット:フルクラム レーシング 600 DB
タイヤ:ピレリP7スポーツ700×28
クランクセット:シマノ FC-R7100、リア12速、50-34T
ブレーキ:シマノ ST-R7170、BR-R7170
ローター:フロント160mm / リア160mm
フロントディレイラ:シマノ FD-R7150
リアディレイラー:シマノ RD-R7150
ボトムブラケット:T47
フリーホイール:シマノ CS-R7101 11-34T 12S
サドル:セライタリア モデルX
シートポスト:コルナゴカーボン
価格:¥715,000(税込)
THE BASE南大沢店ではコルナゴバイクを取り扱っております。是非店頭にて実物をご覧ください。
また旧モデルなど一部車種はお求め安くなっておりますので、そちらも併せてご確認下さい。